神無月の茶道教室、千利休の人柄を垣間みる。【禅と茶道】【風露新香隠逸花】
神無月、今日は初めての茶道教室。
はじめに教えてもらったのは、茶室への入り方。茶室には、掛軸やお花が飾られており、お客さんはそれらの前に行ってじっくり拝見する。とくに掛軸には丁寧にお辞儀をして見るのが作法だ。
掛軸には禅語が書かれている。今日の掛軸に書いてあった言葉は「風露新香隠逸花」。
意味はもちろん、読み方さえわからない私に先生は丁寧に説明してくれた。説明の中で、千利休の人柄を垣間見る瞬間があった。
茶道教室では、ただお茶をたてて飲むだけではなく、季節にまつわる軸や花、礼儀作法など多くの知識を学ぶ。
今回は、神無月の茶道教室で学んだことを、禅語と季節を軸に紹介する。
風露新香隠逸花の意味と千利休
風露新香隠逸花は、「ふうろあらたにかおるいんいつのはな」と読む。
千利休が「利休」という居士を天皇から勅賜された際に、参禅の師である古渓和尚から贈られたお祝いの偈頌だ。
隠逸花とは、菊のこと。菊は気高く凛凛とした香りを漂わせており、花の所在がわからなくても、その清香によって存在が知れることから隠逸の花と呼ばれる。
古渓和尚は、目立つことをしなくても気高く凛とした存在感のある利休を、隠逸の花に例えたのである。
利休とは見えずともそれと知れるような佇まいで、オーラのある人間だったことが伺い知れる。
おもてなしの心が厚い千利休
オーラがあるのは、喜ばれるものを多くの人に与える生き方だからだろう。わかりやすい例でいえば、オーラのある歌手やお笑い界の大御所と呼ばれる人々は、たくさんの人に元気や笑いを与えている。
茶の湯を大成した千利休も、茶室でのおもてなしで多くの人を感動させてきた。
茶道の心得の基礎に「利休七則」というものがあり、そのなかに「降らずとも傘の用意」という言葉がある。
急な雨でもお客さんが困らぬよう予測して準備をしよう、つまり人への思いやりを持ってもてなそうという心構えのことである。
そんな心意気を持って多くの客を感動させてきた利休の生きざまを垣間見て、自分もそうありたいと思った。
茶道と季節
茶道は、季節感や季節を味わうことを大切にしている。お茶碗の形や柄、花や掛軸やお菓子も季節に合ったものが使われる。
季節の花とお菓子
今日飾られていた花は、吾亦紅(われもこう)、りんどう、ほととぎす、なでしこ、小菊、藤袴、そして尾花。
名前はどれも聞いたことがあるのに、名前と実物とが結びつかない。とくに、尾花はすすきのことだと初めて知った。もう少し自然を知ろうと思った。
お菓子は、紅葉狩りという和菓子だった。
茶道と一期一会
今日の茶碗の柄は、秋の七草だった。
先生がたてたお茶をいただいた後、茶碗をじっくりと見てから、茶碗を返す。
その茶碗に出会えるのは、これで最後かもしれないという気持ちで、しっかりと見なさいと言われた。
茶道では、人もお茶も茶会も今日のそれはただ一度限りであり、大切に思いやりを持つことを大切にしている。その一期一会の心得に、お茶碗と向き合う際に触れた。
初めての茶道の感想
教室では、お茶をたてることの他にも多くの知識を学ぶことがきた。特に茶道と深く結びついている禅の考え方にも触れられるのは嬉しい。
また季節を味わえるのも素敵だ。
佇まいと所作の美しい人を目指して、お茶を学んでいきたい。